デュラム小麦のセモリナとは

日本のスーパーでスパゲッティやペンネを手に取ると、原材料欄に「デュラム小麦のセモリナ」と書かれているのをよく目にします。
なぜ、普通の小麦粉ではなく、デュラム小麦なのでしょうか。
実はイタリアでは、乾燥パスタの原料について、法律で細かな規定が設けられています。
デュラム小麦は、パンなどによく使われる普通小麦とは異なる種類の小麦です。
セモリナとは、デュラム小麦を製粉して得られる粗粒状の粉のこと。
イタリアでは、このデュラム小麦のセモリナを使うことが、一般的な乾燥パスタの基本になっています。
しかも法律は、原料の種類だけを決めているわけではありません。
水分量やたんぱく質の含有量などについても、具体的な数値基準を設けています。
例えば「デュラム小麦セモリナのパスタ」では、水分量は最大12.5%、たんぱく質は乾物換算で最低10.5%と定められています。
ここで興味深いのが、イタリアでは国内向けの一般的な乾燥パスタの製造に、普通小麦の粉を原料として使用することが原則として認められていないことです。
(製造過程などで生じる微量の普通小麦の混入については、一定の許容範囲が設けられています。)
また、すべてのパスタがデュラム小麦と水だけで作られているわけではありません。
卵入りパスタや特別な原料を加えたパスタには別の規定があり、輸出向けの製造などにも例外があります。
そして、ほかのEU加盟国などで合法的に製造・販売されているパスタについては、イタリア国内での販売を一律に禁止することはできません。
この背景には、パスタをめぐる興味深い裁判がありました。
1980年代、イタリアのパスタに関する法律が、ヨーロッパの裁判所で争われました。
問題となったのは、普通小麦とデュラム小麦を混ぜて作られたパスタを、ドイツからイタリアへ輸入・販売したケースです。
当時のイタリアの法律では、国内で販売する乾燥パスタについて、デュラム小麦の使用が原則とされていました。
しかし、欧州司法裁判所は1988年、ほかの加盟国で合法的に製造・販売されたパスタの輸入まで禁止することは、当時の欧州共同体における商品の自由な流通の原則に反すると判断しました。
裁判所が示したのは、消費者が原料を知ったうえで商品を選べるようにするという考え方でした。
パスタに使う小麦の種類が、ヨーロッパの貿易の自由をめぐる裁判にまで発展した。
そんな歴史を知ると、パスタの原材料表示もさらに興味深いものになるかもしれませんね。
オット・エ・メッツォショップは日常生活をグンと豊かにしてくれる、
厳選されたアイテムをご紹介しています


